発注者と議論を重ね完成した
高速道路の橋梁の詳細設計。

パソコンのモニターを凝視していた日向は、「よし」とつぶやいた。自分が作成した図面を確認していたのだ。今、日向は高速道路の橋梁の詳細設計付工事の設計を任されている。詳細設計付工事とは、詳細設計と、製作・架設工事を一括して請け負う工事のことだ。公共工事であるため、橋梁の性能を確保しつつ、経済的にも有利な構造を採用する必要がある。そのため発注者と毎日のように議論を重ねて、ようやく構造が決定し、それを詳細設計に具体化したところだった。日向がつくった設計図面には、設計計算で決定した数値の他に、製作・架設時の品質を向上させる工夫も盛り込まれていた。日向は製作する場面、架設する場面を想像しながら、高速道路が完成した姿をイメージしていると、ふと学生時代のことを思い出した。

想いがつまったバトンを
確実につないでいきたい。

大学では鋼構造を専攻。ゼミの教授が橋梁の専門で、恩師から学ぶうちにいつのまにかその魅力にとりつかれた。「鋼の構造だけで美しさを表現できる橋梁は、かっこいい!」。日向は、迷わず橋梁メーカーへの就職を希望し、実績の多い川田工業に入社した。その後、ジョブローテーションで現場と工場の仕事を経験。一つの橋梁ができるまでには、数えきれないほどの人が関わり、多くの努力やアイデアが積み重なっていることを知る。以来、「皆の想いを確実につないで工事を完工させたい」と思うようになった。「発注者の想いが詰まったバトンを受け取って設計し、そのバトンをさらに製作現場、架設現場につなげていきたい」。設計の立場で工事全体をマネジメントできるエンジニアになる。それが日向の目標となった。

苦労した案件ほど
完成したときの感動が大きい。

通常の建築物は、オフィスビルにしてもマンションにしても、完成後にそれを自分が利用することはまずない。しかし道路や橋など公共物の場合は、自由に利用することができる。自分たちのつくった道路を、車で通ったときは感動ものだ。設計が難しくて苦労した案件ほど思い入れがあり、涙がにじむときもある。でも、これこそこの仕事の魅力であり醍醐味だと思う。川田に入って10年、日向が携わった橋は、高速道路から歩道橋まで大小を合わせると、数えきれないほどの件数になった。それでもまだ「例えば吊橋のような長大橋、また、携わったことの無い構造形式の橋の設計をしてみたい」という思いは持ち続けている。大学時代に「かっこいい!」と思った、あの構造美を自分の手で実現する日を夢見て。

My Holiday家族との時間と一人の時間
両方とも大切にしています。

妻と一緒に、釣りやキャンプ、旅行を満喫。時にはシュノーケリングにもチャレンジ。共通の趣味があるっていいですね。それと、絵を描いたりDIYしたり、自分ひとりの時間も大切にしています。

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